頭の方で「ニケ」を演ってくれまして。
私がこの曲をライヴで聞くのは初めて…だったかも?
聞きながら「あ、この曲、こんなに良い曲だったんだ」などと、
改めて認識を新たにしまして。
そんなことを思っていたら、MCでルークさんが
「『ニケ』って曲を作った時、『ニケって何ですか?』って聞かれると思っていたんだけど、
あんまり聞かれなかったな(笑)
…あれは、どこで発見されたんだっけ?
エーゲ海の…サモトラケ島で発見された、『サモトラケのニケ』。
頭とか、腕とかが無い像なんだけど、
よく言われてることなんだけど、あれが、もし、モナリザとかそういうものみたいに完璧な形のまま残っていたとしたら、
今ほど有名になっていただろうか?って。
あれは、欠けた部分があるからこそ美しいのではないだろうか?って。
俺、それを見て…俺って、無いものねだりなんだ。…無いものねだりって、おかしいかな?
欲しいものだらけ。…干しイモじゃないよ(笑)
干しイモって美味しいよね。ちょっと炙って…。お醤油付けて…。
え?!付けない?!長野県●●市だけ?!
あぁそう…じゃあ話を戻して…干しイモって炙ると美味しいよね…じゃなくて(笑)、
欲しいものだらけなわけよ、俺。
何で二重じゃないんだろう?!とか…家中で、俺だけ一重だったの。
整形はしてないよ!年とったら、自然に二重になった(笑)
あと、なんで俺は天パー何だろう?!とか(笑)
そういう風に、欲しいものだらけだったんだけど、
『サモトラケのニケ』を見て、あぁ、“無いからこそ美しい”んだって、
じゃあ、俺も、こんなに無いものだらけの俺でも、“そのままでもいいじゃん!”って思えて、
そんな気持ちを込めて作った曲でした。」
…細かい言い回しとかは違いますし、これでもかなりはしょってますが、
大体このようなことを言われました。
このMCを聞いて…
…私は、ここのところ、
「CANTAは非常に魅力的なバンドだ。でも、その魅力はどこから来ているんだろう?
私は、CANTAのどこにこんなに惹かれているんだろう?!」と考えていて、
その結果思っていたことと、よく似ていたので、とても印象に残りました。
私が思う、CANTAの魅力…
CANTAは、「エンターテイメントとして非常に良く完成された状態」というのではなくて、
むしろ、この『サモトラケのニケ』のように、ガッと何かが無い、不安定な状態だからこそ、
より強く惹かれるんじゃなかろうかと。
満月とは違う、新月の持つ魅力。
光る部分が細ければ細いほど、その光る部分に、そして暗い部分にも惹かれていく。
“無い”部分の持つ魅力、魔力…。
“無い”のだから、惹かれる理由がわからない。
わからないけど、惹かれてしまう。
ブラックホールに吸い込まれていくように…。
CANTAの魅力って、そういうところにあるんじゃなかろうかと…。
『ニケ』、自分の中で、特別な曲になりました。