昔々、私が大学生だったころ、『特別ゼミ』という特別枠のゼミで、
1年間「イスラム教圏の文化について」というテーマで学んだことがありました。
そのテーマを選んだ理由は、実に単純に、シルクロードなどのエキゾチックな文化に憧れを持っていたから。
そんな単純な理由。
あと、「仏教」や「キリスト教」文化はなんとなく馴染みはあるけれど、
「イスラム教」は全く未知の世界だったから。
「世界三大宗教」という言葉は知っていても、その割には全く知らな過ぎたので、
ちょっと学んでみよう…。
そんな理由で。
ゼミに参加してみると、とても厳しい教授で、
結果として大学生活の中で最も緊張感のある一年を過ごしたことになりました…。
そんな厳しいゼミで一年間耐えると、学生の間でけっこうな連帯感が生まれるもので、
皆で選んだ国が、トルコでした。
理由は、イスラム教圏の中で最も安全な国だったから。
先進的で、親日の国だから。
そんなわけで、私の初めての海外旅行はトルコだったわけなのですが、
初めての海外旅行…
初めての異国の地…
初めての異国の人…
頭の中だけで考えているのと、実際に行ってみるのとでは大違いで、
肌の色が違う、体格が違う、言葉が違う…
そういう人達に囲まれて、自分が「異国の人」という立場になる…。
私も含め、20歳そこそこの学生たち(ほぼ全員海外旅行初心者)は、大緊張していました。
特に、向こうについたばかりで、
狭いエレベーターに、現地の人たちと乗り合わせた時、
私たちが緊張しているのはもちろん、向こうの方々も何となく緊張している、そんな固く重い空気の中…
一人の赤ちゃんが泣き始めて、
急に緊張感がほどけました。
「あぁ、赤ちゃんは、日本も、トルコも、どこの国でも一緒なんだな。」
言葉にすると当たり前と言えば当たり前すぎることだけれど、
その時にふっと感じた、人と人としての、肌で感じた感覚…
肌の色や、体格や、言葉や、文化が違っても、
人間ってことには変わらないんだなぁと、
本当に、初めて、実感できた瞬間…。
その後のトルコ旅行は、とても素晴らしい旅行になりました。
とてもいい体験をすることが出来ました。
たくさんの人に親切にしてもらいました。
約2週間ほどの旅行だったのですが、ホントに楽しくて、最後には「日本に帰りたくない」とさえ思うほどでした。
それから、何か国か旅行しましたけれど、
一番の良い思い出、また行きたい国のトップは、ずっとトルコでした。
また絶対行こうと思っていました。
お金と時間さえあれば、いつでも行けると思ってました。
安全で、先進的な国だったから。
あの時、エレベーターの中で泣いた赤ちゃんは、今はもう立派な成人になっている頃です。
無事でいてくれていたら。