『まんぷく』感想文(長いよ)
今日、『まんぷく』総集編があったんですよねー!
『まんぷく』が始まった時…
「随分地味な話が始まったなぁ」
「典型的な“朝ドラ”だなぁ」
「まぁ、安心してみていられるのかな…その代わり、少し退屈そうだけど…」
と思ったのが正直なところ。
福子のお母さん(松坂慶子)が缶詰を盗み食いしてるシーンを見た時は
「大丈夫かな、このドラマ…」と思い、
「あまりに主人公カップルが理想的な良い子だと面白味にかけるよなぁ」と思い、
塩軍団が出てきたときには
「若い男があまり多すぎてガチャガチャした話になると嫌だなぁ…」と思い…
そんな私が、徐々に徐々に引き込まれ始め、
中ごろにはホントにホントに夢中になっていきました…!
中でも、萬平さんが3回目に逮捕されたときの、
面会に来た福子と金網越しに手と手を合わせるシーン…
あの回を見た時は、15分のドラマで起こったことだとは思えなかった…
2時間ぐらいの映画を見た後のようだった…!
朝から号泣しながら仕事に行きました…。
後から聞いた話だと、あれはアドリブだったとか!
役者ってすげーー!!( ゚Д゚)
というのを思い知らされた半年でした。
主演二人が芸達者だと、15分でも、ホントに舌を巻くような、見ごたえのあるドラマになるという事を教えてもらいました。
また、『まんぷく』は、登場人物全員、それぞれスピンオフを作れるくらい、キャラがはっきりと立っていて…。
しかも全員、どこか欠点がありつつ、愛すべき人物という…。
映像もまた美しくて…
桜の花が舞う中、姉の死を告げる時…
夏の夜の海で、おそらく二人が初めて結ばれた時…
光の使い方が特に凄くて、
西日の柔らかい光の使い方が秀逸で。
セットがセットに見えなかった。
何といっても、初めは理想的すぎる程の天使キャラだった萬平さんが、
段々マッドな一面を見せていき…
その萬平さんに献身的に尽くす福子…というと、典型的な「健気に耐える主人公」のようでいて、
実はむしろ嬉々として、萬平さんを煽っているのが福子という…。
本編中に、あまりに福子が「萬平さんならできます!」を連発するので、
「萬平さんにプレッシャーなのでは」
「重いのでは」
「萬平教の信者」
などと言われていましたが…
実は、私が『まんぷく』に肩入れした大きな理由は…
そんな福子に共感できるからだったりする(^^ゞ
えぇ、私も、
「ならないなら、世の中の方がおかしい」くらいに、常々思っている方ですから…。
えぇ、私も「重い女」なもので(爆)
「自分が好きになった男の可能性を信じる」というか、
「自分が好きになったからには、真価があるに違いない」と思っているというか、
「そのぐらいの男だからこそ、自分が好きになったんだ」と思うというか…。
「男の仕事に惚れる」というか、
「仕事に対する心意気に惚れる」というか…。
福子は、萬平さんの「自分の発明で世の中の人を幸せにしたい」と言ったときのキラキラした瞳に惚れて、
萬平さんがその言葉の通りに行動している限り、とことん応援する。
萬平の方が少し保守的になりそうな時には、福子の方がその言葉を思い出させようとする。
そうでなきゃ許さないくらいw
それも女の一つの心意気と思いましてね、そういう福子が好きだったんですよw
覚悟…というとちょっと違う、
純粋に、自分が「そういう萬平さんが好き」だから、喜んで応援するという…。
今風?に言うと、推しを応援するファンの鏡と言いましょうかw
いつごろからか、誰かが言い始めたのが「明るい狂気」。
そう、『まんぷく』は「明るい狂気」のドラマでした。
萬平さんも福子も、一般常識的にはどこか狂ってる。正気の沙汰じゃない。
でも、当の本人たちはとても楽しそうにそれをやっている。
「何かを成す人間は、どこか狂ってるもんだ」とも、誰かが言っていた。
その辺の狂気すれすれの部分が、本当に面白かったw
本人たちだけのせいじゃなくて、二人に襲ってくる運命はなかなかに熾烈で、
かなりハードな内容だったのに、
何故か見終わった感想は「明るくて楽しいドラマ」だというのも凄い。
何であんなに何度も死の淵は見るわ、投獄されるわ、無一文になるわを繰り返しているのに、そんな感想になるんだ。
シリアスと、ほのぼのと、お笑いを取り混ぜる脚本もよかった。
どんなにシリアスな話が続く中にも、ホッとするほのぼのやお笑いもあって…
かと思えば、ほのぼのしてる中に一気にシリアスに突き落とす…
銀行の理事長の職を追われて、貧乏になって、
発明家としての自分を取り戻した萬平に、
「私たち、幸せですね」と福子がほほ笑んだ直後に、
子供たちがいじめにあっていることを告白する…
巧いもんだなぁと、舌を巻きました。
ほんの少し見ただけの人が居たら、見た回によって、シリアスだったり、ほのぼのだったり、全然違うドラマだと思われていると思う。
是非トータルで見て欲しい…。
あぁ、そうそう、ほんのーり桃色なエッセンスが含まれているところも忘れてはならないんですよねー。
ピンクじゃなくて、上品に桃色w
大人だったら、わかる人だけわかる桃色。
若い時代の萬平さんには、本当に色気があったなぁ。
それが、年を取ってからは、ホントに加齢臭まで漂ってきそうに見えるんだから、役者って本当に凄い。
正直、即席ラーメン協会を作って、その会長に萬平さんが就任したところが一番のドラマのピークで、
その後のカップラーメン作りは、ドラマとしては少しトーンダウンした感があったけれど、
最後の最後まで、
「成功したところが終わりじゃない。生きている限り、まだまだ次がある。次を目指していく。」
というテーマがあって、
それを示すために、カップラーメン編があったのかと、
最終回を見て合点しました。
物語を作るなら、私もこういう話を描きたい。理想。